ポール行ってきた

出かける前、幼馴染みのシンチャンから電話があり、ポールは演出もあって6時半開演になってるけど7時だと思った方がいいよ。
と、情報をくれた。
COMIN'UP COMIN'UPとスピーカーから流れるまでは出てこないとも。
6時半前だと売店もトイレも大変な混雑だけれど、時間通り始まらないからそれ以降だと空いている。
確かにそうだった。
シンチャンは若い頃イギリスまで行きポールに会ったことがあり、携帯の待ち受けはポールとのツーショット。
その写真を大事にし、自慢の種にもしている根っからのポールフリーク。
事業で成功して余暇をBEATLESの周辺機器を収集することにのみ使っていると言っても過言ではない。
1966年中2の時にBEATLESが来日し武道館でわずか35分のライブを行った。
その武道館で使用したギター、アンプ、ベース、ドラムセットをほぼ同じシリアルナンバーで集め、以前はリビングにセットしていた。
そんな筋金入りのファンである。(10代はBEATLESコピーバンドを私と一緒にやっていた)
彼は1日おきにこのドームに来ているらしい。
最終の武道館10万円券もゲットしたとか。
私はもう最後になるんじゃないかと大枚はたいて行ってきたが、ポールはここ数年の中で一番声が出ていたんじゃないか。
のびやかでシャウトもし、ごまかしなどはなかった。
それと集中力、ミスもない、危ないとこもない、完璧。
そして私なんかよりよっぽど元気で、この分だと、私の方が早くダメになりそうな気さえした。
あんなに広いドームだけれどポールと私以外に誰もいないような錯覚を何度も覚えた。
ポールも私も若くあの広大なドームの空間はどこかへ無くなり、私だけのポールがそこにいる。
私だけのポールで私だけが特別なんだと思い込んでいるが、5万人の客みんなが同じように感じてるのかもしれない。
ポール!と叫ぶつもりでいたが、口元でポール、と息と一緒に漏れた。
世界最高峰の音響設備、映像設備、照明設備は当然だろうが、音が良かった。
中でもフォークギター(多分マーチン)一本でBLACK BIRDを弾き語ったときの、ギターの音の良さに驚いた。
頻繁に楽器を持ち替えるのは見せる部分もあるが、すぐ裏でローディーがチューニングをするのだ。
その位ポールは耳がいいんだ。何よりもピッチを気にするんだ。
(ギタリストも10本は使っていた)(BEATLES時代からピッチの気になるテイクは聞いたことがない)
弦の新しさやボディーの鳴りやネックをポジション移動する時のスティール弦と指のこすれる音などナマナマしかった。
アタッチメントやイコライジング、使用しているアンプなども当然イイのだろうが何よりもコントロールできるポールのセンスがいいのだ。
つまり当たり前に無茶苦茶上手いのだ。
そのタッチの良さはベース(ヘフナーのバイオリンベース、シンチャンのとこで弾いてみたが私が弾いてもいい音しなかった)ピアノ(グランドとマジカルミステリーツアーのカラーデザインのアップライト)、エレキギター、どれをとっても素晴らしい。
瞬時のうちにその楽器の一番イイ音する弾き方を手繰り寄せ、実行する。
コンサートもすすむうち、開演前に飲んだ大量のビールが膀胱へ降りてきたが、トイレなど行くバカはいないと、ほとんど歌詞まで知っている曲を一緒に叫んでいた。
5万人の客が唄うアンコールでやった、I SAW HER STANDING THEREは鳥肌もんだった。
2時間半を超えるパフォーマンス、何よりも全部歌い演奏していることの素晴らしさ。
当たり前のようだが口パクが主流のご時世だから余計に魅力的。
いかさま、ごまかしの類は一切無し。
すべて自分のオリジナルソングでしかも世界的ヒットした曲ばかり。
ポールは偉ぶることなく、デビュー当時からのやんちゃな元気な男の子のまままだった。
そして日本人のファンに対して本当にリスペクトしている感じだった。テレビモニターをしきりに見ながら日本語で語りかける。
サービスもし、気も使い、そして何よりも自分自身楽しんでいた。
このところ来日したアーティスト達はどこからこんな素晴らしい観客を集めたのかと、本気できいた、そのぐらい今日本の観客は評価が高い。
水さえ口にしない、あのエネルギーはどこから来るのか。
なんせベジタリアンで酒も飲まないそうだ。
(ポールのベジタリアンは有名でドキュメンタリーでもやっていた。コンサートのケータリングの食事はシェフが何人かいて、バンド、スタッフ分も含めて相当な人数分のバイキングスタイルだった。)
昨年のビルボード東京のラリーグラハムも節制しているからこそのステージだった。(彼はエホバの証人の信者)
二人とも若い頃さんざん大麻LSD麻薬などをやったからなのでしょうか。
ミックジャガーもあの年で走りまわってる。(こちらは血液を入れ替えている)
いい見本が10才上にいる。
安心して音楽に取り組めばよいのだ。
さー今日は変則トリオでジャズを、イタリア女抱えて行ってきます。