"映画ストックホルムでワルツ"を見て来た

いやー大阪日帰りはきつい。
年齢的にも無理がある。
しかも最終ののぞみで東京に着いて中央線ホームが人で一杯で溢れかえっている。
いつものことなのかどうかはわからない。
しかも気が急いているから快速に乗った。
荻窪で降りる時も”すいません、降りまーす”とベースとユニフォームケースを無理やり引っ張って。
ベースのネックが折れるんじゃないかと、そんな混雑。
あー、各駅でしょ、いつも!
翌日も何か疲労感がずっと残っていた。
大阪では20年振りに会うSAX奏者や知っているプレイヤーもいた。
水前寺の旦那が突然指揮棒を振るというアクシデントにもめげずに、なんとか初日を乗り切った。
昨日は東京プリンスホテルでディナーショウの仕事。
リハーサルが終わってあまりにも時間が空くため私は自宅へ帰った。
しかしまたこの日のメニューが全然違っていて、本人が音を出したいとTELがかかってきた。
急いで戻り再リハと本番を終え帰ったのが11時を過ぎていた。
そして
かねてより見るべくチェックしていた映画を見に行った。
武蔵野館3.ストックホルムでワルツを!  
なんだか着飾った年上の女性が多い。
そのままシャンソンでも歌いだしそうな人達。
ジャズマンやボーカリストらしき人はいない。
スウェーデンのモニカ ゼッタ―ルンドという女性歌手の物語。
モニカ役の女優さんもとても美人。
ニューヨークでエラに会って、自分はあなたが好きだ、私の歌を聞いてと頼む。
勝手に歌えば?とエラ。
人の真似するのじゃなく、自分のソウルで歌わなければ意味がない!
モニカは逃げるようにして立ち去る。
そこから本国で成功していき、途中オドロオドロしい場面が続く。
このオドロオドロしい場面を見たさに、かの着飾った先輩女性が来ていたのか?
日本においてシャンソンは独自にガラパゴス化していて、演歌と同じような腹の底から情念をしぼりだす方式がある。
私の知っているシャルルアズナブールやエディットピアフはもっとアメリカ的サウンドとビートを持っている。
そこにパリ独特のエッセンスが入り込みいちジャンルを形成している。
日本におけるそれはちと違う。
最後にはモニカはビルエバンスの”WALTS FOR DEBBY”を母国語で歌いたいと思い、実現する。
私はそれまで音楽ものの映画を観てきたがこの映画は少し違うと思った。
しいて言えば石川さゆり天城越えを映像化したような、情念とか恨み節的、ソウルとは違うものを感じてしまう。
しかしモニカは美人である。
最初にニューヨークにトラで呼ばれた時は、トミーフラナガントリオだった。
その時も人種差別はあって、MUSICIANは楽屋もなかった。
そしてモニカは白すぎて即首に。
さまざまな白人女性ジャズシンガーはみなジャズメンをRESPECTしていた。
ヘレンメリルはYOU'D BE SO NICE TO COME HOME で有名だが CRIFORD BROWNとのLPも残している。
YOU TUBEでもモニカは見られる。
素敵なSINGERであることに変わりはない。
ビルエバンスに行きついたことが必然でもあり、物足りなさをも感じてしまう。
最後にスウェーデン語でトミフラとやっても良かったと思うが。
ちなみにWALTS FOR DEBBY のDEBBYはエバンスの姪のことだ。
その愛くるしさに曲を作るざるをえなかった。とてもよくできた曲。
この曲はベースラインが特にこっているが、エバンスの左手のベースノートとユニゾンになっている。
このベースノートのセンスがビルエバンスの真骨頂だ。
映画は私的にはあんまりだったが、ハンカチは必要。
着飾ったおばさま達は物足りなそうに席を立った。