ふじ

リンゴのふじ。
1箱送られてきた。
送り主は果樹園を福島でやっている松川さん。
2年前に亡くなった佐藤重雄の幼馴染み。
佐藤重雄はカンツォ―ネの歌手。
私のアレンジ、プロデュースでCD制作をした。
そのCD発売記念ライブを福島凱旋コンサートとして尽力してくれたのが松川さんだ。
会場の手配、ボランティアの確保、チケット発売、はたまた打ち上げ会場の手配など。
バンマス、バンマスと私までたててくれた。
そう言えば、その打ち上げで佐藤氏のギターを引っ張り出してHEY JUDEを歌ったんだ。
佐藤氏は私より少し下になるが、みんな大いに盛り上がった。
福島で一番美味いという酒をたっぷりいただきました。
ライブ翌日佐藤氏と共にお邪魔したのは、リンゴや梨がなる松川果樹園。
そこでリンゴ、梨をもぎ、その場で食べさせてもらった。
穏やかな晴れた日の果樹園は暖かく、その蜜が星のように入っているリンゴは格別においしかった。
2010年の秋のことだ。
佐藤氏は幼馴染みを、晴男ちゃん晴男ちゃんと言い、とても楽しそうだった。
翌年大震災がおき、佐藤重雄は被災した実家のことや、原発による放射能の影響をもろにかぶってしまった幼馴染みのことなどを心配し、朝から酒を飲み続けた生活がたたって、2011年の秋に心筋梗塞で亡くなった。
イタリア行きのミーティングを設定した2日後のことだった。
松川さんはご丁寧にも放射能分析結果報告書までつけてくれた。
このリンゴ横に真ん中から切ると8個の星型蜜が現れる。
甘酸っぱくシャリシャリしていて、すがすがしい味だ。
リンゴとともに心まで送ってくれた。