エスぺランサ

昨夜エスぺランサを見に渋谷へ。
なんと渋谷はすっかり変わってしまいインスタントな薄っぺらい街になった。
東急の地下化、井の頭線、銀座線下の再開発などで古い店は軒並み立ち退き。
昔リキパレス、その後エンパイアというキャバレーだった処も巨大なビルが建ち、横文字の名を付けていた。
この周辺はじめじめしていて、雨ふれば水たまりが出来、ところどころ土のところもあった。
渋谷のはずれといったかんじで薄暗く、木立に隠れて連れ込み旅館などもあり、危ない一角だった。
違法駐車場所としては極めて優秀で近所には焼き鳥屋、焼トン屋などがたくさんありなかなかいい街だった。
道玄坂ヤマハもなくなり、渋谷へは足が遠のいている。
もう我々が行くべき飲み屋もなく、道玄坂から東急本店まで出(この通りもイイ通りだった)オーチャードホール近くで一杯。
仕方なく一番近いチェーン店へ。
ひどい、まずい、遅い、高い。
コンビニでいつものポケットバーボンゲット。
ホール内はよい子の集まりというかんじ。
ここで仕事したのはいつだっけ?などとぼんやりしていたらショウの始まり。
アンプはAGUILLERというジョンパティトゥイッチが使っているのと同じNEW YORK製。
ACCOUSTIC BASSは2本あるうちの色が薄い方のやつ、エレキはサンバーストのジャズベースから黒白のツートンカラーのMUSTANG BASS?
おそらくショートスケール。歌いながら弾くには良。エレキはコードレス、ラックに入っていたアンテナ付き受信機で受けて、アンプへ。
ティナターナーのような超ミニスカートとハイヒールはやめて、おとなしめの長いスカートにコルクのサンダル、という動きやすい服装。
新譜のRADIO MUSIC SOSEIATYからの曲をほとんど、まるでCDを聞いているような音で。
Tb,2本、Tp2本(このうち1本はエリック宮城のような体つきの女性でコーラスもする)Bsax,Altsax,Tsax、男性コーラス1人、それに4リズム。
管楽器奏者は全員アドリブする、しかも音色、リズムの質が高い。
しかもエスぺランサはスケールアウトした状態のスケールを指定しているためメンバーは大変だ。
Altsaxの女性もよく鳴る音で豊な音色。ブラス隊に合図も出していた。
基本的に黒人ソウルバンドのやり方で、最初のMCもJAMS BROWN的であの知的SOUNDとはマッチする?と思ったが。
音響もPAオペを連れて来ていたし、個々のプレイヤーがうまいのでtbの音量がでかいという意外特別問題はなかった。
エスぺランサは歌もベースも上手くなっていて、特に歌は手がつけられないほど奔放、スキャットありラップありすごい。
PAでコンプレッサー掛けていないのかエスぺランサがのってきて強く弾くと打撃音がよく出る、これはこれで私的には安心出来る音ではあるんだが。
すべてをコントロールされたらライブに行く意味がなくなってくる。
エスぺランサの音楽はどんな人が聞くのだろうか、まわりを見まわすとハイソな感じのする中流階級の匂い。
公演後CD売り場に長蛇の列が出来ていたので、はじめて見に来た人がおおいのかも。
今回主催のサモンはクラシック関係が多そうなので、ただ券もらってきた人もたくさんいたのかもしれない。
いくらなんでもこの難解な音楽が日本で2千人も人を呼ぶとは思えない。
2拍4拍のアフタービートを使わないやりかたは私も同感で、まわりの観客も軽い気持ちで手拍子などは出来ないでいる。
しかも必ず入ってくる変拍子もある、おいそれとはできない。
シンコペーションのきいたベースパターン、アフリカ的と言おうか、アフロラテン的と言おうか、表層的にはレゲ的。
2ビートをあまり意識しない2ビートパターン。この部分も同感。だがあれを弾きながら歌うのはサーカス。
弾くベースパターンも普通のスケールとはちょっと違う。
へんてこなトリッキーなパターンに難しいメロディーと複雑なコード進行。
特に彼女がすきなのはWAINE SHORTERで彼の曲に詩をのせアレンジしやりきってしまう。
エスぺランサの難解なイメージはおそらくこのへんからきている。
さてライブもエンディングに近くなり、せっかく静かに観ていた観客をあおり、あまえら楽しいのか、のってんのか手拍子して盛り上がれ、などと扇動し始めとうとう全員立ち上がり踊りだした。
もう変拍子でずっこけることもない、だってエスぺランサが手拍子している。
結局は最後にはこうなってほしかったのか。
この先どんな成長するのか、いちファンとして見守ることにしよう。
酒もたばこもドラッグもやらなそうなかんじだから、まだ引き出しにしまってあるアイデアが詰まっていることでしょう。