映画 愛しのフリーダ 観た

愛しのフリーダを観てきた。
素晴らしい。
どんな俳優よりもどんな女優よりも、彼女は素晴らしい。
なぜか、それは演技をしていないからだ。
私の初恋音楽、BEATLESの秘書を11年勤めたフリーダ ケリー。
のっけから I SAW HER STANDING THEREが大音量でかかる。
WHEN SHE WAS JUST SEVENTEEN,YOU KNOW WHAT I MEAN!とポールが唄う。
そうだフリーダがBEATLES の秘書になったのが彼女17才のときだ。
フリーダ17才ということの為だけにこの曲を使うのだ。
BEATLESの敏腕マネージャー、ブライアン エプスタインが会社を立ち上げた時、声を掛けられて秘書に。
なぜ声を?
フリーダはタイピストとしてすでに働いていた。
そして友人に連れられキャバーンクラブへ。
そしてBEATLESにノックアウトされそこの常連に。
楽屋も自由に出入りして、顔見知りになった。
そして声がかかった。
そんなフリーダがインタビューに答える形で話がすすんでいく。
最初からとても朗らかで笑顔の可愛いおばあちゃんといった印象だ。
その時何かふとよぎるものがあった。
それは清潔で誠実でその行動の規範に良心があって支えられているという人となり。
はじめてBEATLESを好きになったときの感覚と一緒だ。
その人間性ただ一つでこの映画が出来ていると言っても過言ではない。
その後できたBEATLESファンクラブ代表になり、自分もファンの一人だからファンの気持ちがわかるからと、大切にしてきた。
1974に持っていたほとんどの宝物をファンに譲った、今はダンボール4箱の思い出の品だけである。
売れば億万長者になったであろうが、していない。(例えばファンクラブ会員向けの限定レコードなど、もちろんサイン入り)
しかも我が子にも自慢めいたBEATLES話をほとんどしない。
彼女は充分人生を楽しんだし、今も幸せだ、そして今も働いている。
そのつつましやかな生活が宝物のように写る。
自慢するでもなく、しがみつくでもなく、一人の人間として静かに暮らす。
フリーダに孫が出来た。
その孫には、おばあちゃんがどんな風に生きてきたかを伝えたくてこの映画制作に携わった。
このような高潔な人がいると分かるだけで、この映画は充分に役割を果たしている。
最後にリンゴが出てきて、フリーダは我々の長い友人で、家族以上の付き合いをしてきたし、今でも友達だよ。
とフリーダの孫に向かって話しかける。
ジョン、やジョージが時折使うリヴァプール訛りも当然ながら、フリーダのイントネーションが一緒で面白かった。
そして最後にハチロク(リズムのこと、オ―ティスのI'M LOVIN' YOU TOO LONGのあのリズム)でLOVE LETTERが流れタイトルバックが流れる。
これも観終わった心を優しくやさしく包んでくれる。
いい映画を観た。